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広大な領土を統治する仕組み-官僚機構

(第1章6/12)

今回は第1章の6回目(全12回)。これまで歴史を知る重要な3つのキーワード「都市」「文明」「帝国」について学びました。帝国は強大な軍事力によって広い領土を征服しました。軍事力の源は鉄製の武器と戦車でした。

この記事では、帝国にとって軍事力と同じくらい重要なポイント、官僚機構について説明をします。

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古代オリエント史第1回:古代オリエント文明の概観

1.3.2 広大な領土を統治する仕組み-官僚機構

帝国は強大な軍事力を背景にして、広大な土地を征服しました。そのようにして得た領土の中には、様々な人種、民族、言語の人々が混ざっていました。

そこで帝国を治めるには、これらさまざまな人種、民族をどのようにしてまとめるのか、という問題を解決しなければなりません。

広大な領土を支配するために、まずは王、皇帝に仕える役人である、官僚の存在が必要でした。また地方には総督そうとくと呼ばれる、地方を監督する役人を任命して、つかわしました。

そして何より、帝国全体を治めるためには、地方の状態に関する情報が出来るだけ早く、王や官僚たちに伝わる必要がありました。情報伝達のスピードが帝国の命です。

そのために帝国は領土におけるネットワークを整備する必要がありました。今のように電話や通信ネットワークがない時代では、情報は人の足を通して、書面で伝えられました。そのために、帝国を治めるには情報を記録するための文字が必要でした。

帝国の領土内での情報伝達のスピードを速めるために、王は道路のネットワークを整備しました。主要な道路には宿駅を作りました。宿駅とは、道路沿いに一定の間隔で置かれている宿屋のことです。宿駅ごとに必要な情報がリレー形式で伝えられました。このように、主要な道路に一定の間隔で宿駅を設ける体制のことを駅伝制と言います。駅伝制はどの帝国でも採用されました。

情報伝達、という点でもウマは役立ちました。ウマは人間の行動範囲を広くし、それを帝国が利用することで、より広大な領土を支配できるようになったのです。ウマは軍事力と同時に、人間が関われる範囲を広くし、人間社会のネットワークがより充実するのを助けました。

この記事では、帝国が広大な領土をまとめる仕組みである官僚機構について解説しました。

次の記事では、少し視点を変えて、帝国を繁栄させた商人と帝国との関係を見ていきます。また法律が生まれた理由について、商人との関係から考察します。

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