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帝国は滅びるが文明は生き続ける

(第1章11/12)

今回は第1章の11回目(全12回)。これまで歴史を知る重要な3つのキーワード「都市」「文明」「帝国」について学びました。帝国を考察する最後として帝国と文明との関係を考えています。栄華を極め、高度な文明を誇った帝国もやがて終わりを迎えました。

この記事では最後に、帝国は滅びるが文明は生きる、となぜ言えるのかを考えます。

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古代オリエント史第1回:古代オリエント文明の概観

1.3.4.4 帝国は滅びるが文明は生き続ける

繰り返しますが、文明は人種や地域を超えて人々に訴えるさまざまなスタイルです。

これには人間の生活の基本である衣食住(着るもの、食べるものと住まい)に加えて、高級な工芸品、人が集まる様々な場所(神殿、広場、劇場など)の豪華でかつ実用的な建築物、詩や演劇の台本(戯曲)などの文学、音楽、様々な学問、科学技術などが含まれます。つまり人間が生活をし、情報を発信する中で生み出されるすべてが含まれます。

ですから新しく生まれた帝国も、文明のスタイルを磨くことによって、帝国の栄光を広めなくてはなりません。新しく、魅力的な文明を生みだし、発信することも帝国の役割です

また戦乱によって文明の盛んな都市が一つ崩壊したところで、文明のスタイルは壊れるものではありません。文明とはある地域に縛られずに人々に訴えるものだからです。

帝国は滅び、崩壊へと向かう中で戦乱が起き、残忍な殺りくが行われる、これも歴史の真実です。それはこれからも起き続けるでしょう。

しかし、文明は人を生かします。ならば私たちは、権力がどれだけ入れ替わろうとも残るもの、生き続けるものを手にしなければなりません。つまり、文明を学び、作り出すことを意識しなければなりません。

長い歴史から見れば、私たち一人一人は小さな存在です。ですが私たちは、人間が生み出した高度な営みである文明を思い続けることによって、歴史の輪に加わることが出来ます

では、文明の風に吹かれながら、歴史の旅へと一歩を踏み出しましょう。

次の記事では、第1章を簡潔に、コンパクトにまとめます。

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