序章:はじめに-なぜ歴史(世界史)を学ぶのか。本サイトの目的(1/3)
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みなさん、初めまして。歴史(世界史)をより面白く、より詳しく解説したサイトへようこそ。
早速どこからでもいいから歴史を教えてくれ、と言われそうですが、まずは少し堅い話にお付き合いください。
歴史は憶えることが多くて大変だ、と皆さんお思いでしょう。では最初に、歴史をうまくまとめて憶えやすくするための秘訣をお伝えします。
これからそのための3つのポイントについて説明します。最初になぜ私たちが歴史を学ぶのか、という疑問について。2番目にこのサイトの名前である「歴史のポリフォニー」のポリフォニーという意味について。最後に本サイトが採用する歴史の見方、ネットワーク歴史観についてです。
最初のポイントの「なぜ歴史を学ぶのか?」、目的は人それぞれです。この疑問について私は「本物のコミュニケーション能力を身に着けるため」と答えます。その理由を説明します。
2番目のポイントにある「ポリフォニー」という意味ですが、ポリフォニーとは音楽用語です。このポリフォニーのおかげで100人もの演奏者が1つのオーケストラで一斉に演奏することが出来ます。まさしく歴史は1つのオーケストラです。ではその最大のオーケストラがどのようにして動いているのか、探ってみましょう。
最後のポイントの「ネットワーク歴史観」-略して「ネットワーク史観」と呼びます-ですが、これは2番目のポイントとも関係があります。どのようにして歴史が動いていくのか、「ネットワーク史観」は人、もの、お金、情報、それらが移動してつながるネットワークを基にして考えます。
では最初のポイント、なぜ歴史を学ぶのか?、から説明します。
0.1なぜ歴史を学ぶのか
先ほど私は、本物のコミュニケーション能力を身に着けるために歴史、とりわけ世界史を学ぶべきだ、と述べました。では「歴史」と「コミュニケーション能力」、つまり人に自分の思いを伝え、人と会話をし、関わる能力とはどうつながるのでしょうか?
その疑問の答えは、歴史を動かしている一人一人の人に注目してみると出てきます。
歴史は人間の好奇心、つまりまだ見たことのない土地を思い、地の果ての人とつながりたい、という思いによって作られた、と言えます。
人間はそのようにして自分がまだ知らなかったものを知り、その新しいものに影響を受け、他の土地にあるよいものを次々と取り入れていきました。
何百年もかけて日本に伝わったもの
1つの例として、日本のどのお寺にもある仏像を挙げてみます。仏像のデザインの元の形は2000年前のインド、より細かく言えば現在のパキスタンに遡ります。2000年前のガンダーラ地方と呼ばれる場所で数多くの仏像が作られました。この仏像ですが、さらに西側のギリシア人人たちの彫刻の技術を使って作られました。
この地方にギリシア人の子孫が移り住むようになった理由は、さらに300年前、今から2300年ほど前の時代の出来事が関係しています。
この時代のギリシアに、東はインドの入り口まで攻め込み、征服した王がいました。名前をアレクサンドロス大王といいます。
この大王は今では信じられない広い範囲を征服しましたが、大王はその征服した土地に次々とギリシア人たちを移住させました。
このギリシア人たちの子孫が2000年前に仏像を作り始めました。仏教を信仰している人たちは最初は仏様を像にするなどとんでもない、と思っていました。それならば修行して仏になろうと努めている者-この者たちを菩薩といいます-を像にしよう、と彫刻家たちは考えました。それで仏像には「菩薩」という名前の像が数多くあります。
そしてその仏像が今でも日本で見ることが出来ます。この仏像はまさしく地球の裏側から伝わったのです。
もちろんガンダーラ地方から仏像がすぐに日本に伝わったわけではありません。何百年もの時間が必要でした。
その何百年もの間、どれだけの人が仏像を持ち運び、同じ物を作り(複製し)、図面を描き、そのようにして仏像を日本にまで伝えたのでしょうか?たがが仏像を取っても、そこにはどれだけの人の関わりが見えますか?
関わり合い、影響を与え合った人類
人間は長い歴史の中で、様々な食物、生活必需品、それ以外の高級な品々(仏像もこれに含まれますね)を交換し、そのようにして数えきれない程の関わりを持ってきました。それ以上に、より効率の良い農作物の栽培の仕方、太陽や星の動きをもとに季節を正確に予測する方法など、知識や技術の情報をやり取りしてきました。こうして人間は、地の果てにいる、まだ見たことのない人たちの知識、物の見方を吸収していきました。
まさしく歴史にはこのような人間同士の関わりがいっぱい詰まっています。そこで私たちは歴史を通してどのように思いを伝え、人と関わるのかというコミュニケーションの方法を学ばなくてはなりません。
ではここで、何千年という歴史を一本の線につなげる決まり、法則をお伝えします。と言ってもそんなに難しく考えないでください。
今までの歴史の歩みをまとめると、世界が一つになっていく道のり、と解釈できます。
今では地球の裏側へも1日でたどり着けます。またメールを通して世界中の人たちに一瞬でメッセージを伝えられます。
世界をつなぐネットワークは一つに結ばれ、またネットワークの網の目はより細かくなっています。
これから世界がどのように一つに結ばれていくのか、その物語を味わってみましょう。
この記事では「なぜ歴史を学ぶのか」という疑問について答えました。本物のコミュニケーション能力を身に着けるため、という大きな目的がありました。また何千年もの歴史を一つにつなぐ歴史の見方を最後にお伝えしました。歴史とは世界が一つになっていく道のり、と見ることが出来ました。
次の記事では、本サイトのタイトル「歴史のポリフォニー」の「ポリフォニー」を説明します。実際の、具体的な歴史を学ぶのはもう少し先ですが、世界が一つになっていく道のり、という実感を少しつかんでみましょう。